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家族の医療費を、あとで役に立つ形で書いておく

医療費が書きにくいのは、払った時点でその支出がいくらになるか確定していないからです。払い戻しや助成が数か月後に別の場所から入ってくる前提で、記録の形を決めておきます。

医療費の記録が難しいのは、金額が大きいからでも、頻度が高いからでもありません。払った時点では、その支出が最終的にいくらになるのか、まだ確定していないからです。

窓口で払った額から、あとで助成や払い戻しが引かれることがあり、それが何か月も後に、別の口座に、別の名目で入ってくる。家計簿の上では、支出と、それに対応する入金が、離れた場所に散らばります。散らばったまま一年が過ぎると、結局その年に医療にいくらかかったのかは、誰にも分からなくなります。

払った日と、戻ってくる日は違う

高額療養費の払い戻し、加入している健康保険の付加給付、こども医療費助成の償還払い、民間の医療保険の給付金。どれも、支払いから入金まで数週間から数か月かかります。

この時間差の書き方には、二つのやり方があります。支出は実額のまま書いて、戻ってきたお金を入金の日に収入として書く方法。もう一つは、あとから元の支出の金額を減らして、正味だけを残す方法。

前者のほうが実務的です。理由は二つあって、一つは、家計から実際に現金が出て行った時期がそのまま残ること。もう一つは、戻ってこなかった場合に何もしなくていいことです。後者は、戻ってくる前提で過去の記録を書き換える作業が必要になり、その作業を忘れると数字が宙に浮きます。数か月前の一件を書き換えるのは、思っているより忘れます。

ただし前者を選ぶと、医療費が実態より大きく見える月と、収入が不自然に増える月ができます。年で合計すれば正しくなるので、月ごとの比較にはあまり使わない、と割り切っておくのが無難です。医療費は、もともと月で見て意味の薄い費目です。

メモに何を書いておくか

医療費は、翌年の確定申告で医療費控除を使う可能性があるという点で、他の費目と性質が違います。使うかどうかは一年が終わるまで分かりませんが、使うと決めてから遡って調べるのは大変です。書くときに数語足しておくだけで、後の手間がまったく変わります。

  1. 誰の受診か。世帯で合算できる範囲があるので、家族のうち誰のものかは必ず残しておきます。
  2. どこで払ったか。病院、歯科、薬局、接骨院。区別が必要になる場面があります。
  3. 何の費用か。診察、処方薬、検査、入院、通院の交通費。交通費は対象になるものとならないものがあるので、あとで判断できるように種類まで書いておきます。
  4. 領収書がどこにあるか。封筒でも箱でも構いませんが、置き場所を一つに決めて、その名前を書いておきます。

これを毎回書くのは面倒に見えますが、医療費の記録は件数がそれほど多くありません。毎日の食料品と違って、多くても月に数件です。一件あたり十数文字なら、続きます。

助成と払い戻しを、どこに書くか

戻ってきたお金を収入として書く場合、日常の収入と混ぜないほうが読みやすくなります。給与と払い戻しが同じ費目に並んでいると、年収の合計が実態とずれます。

費目を分けておくと、年末に、今年はいくら戻ってきたか、がそのまま出ます。この数字は、翌年の医療費を見積もるときに、支出の側と同じくらい役に立ちます。窓口でいくら払ったかと、最終的にいくら残ったかは、別の数字です。

助成が現物給付の形で、そもそも窓口で払っていない場合は、何も書く必要はありません。ただ、地域や年齢で条件が変わると自己負担が発生することがあるので、いつから条件が変わるかだけ頭に入れておくと、変わった月に驚かずに済みます。

長く続く医療費のほうが、実は重い

慢性的な疾患、定期的な通院、長期の服薬がある家庭では、医療費は突発ではなく固定費に近い形になります。一件あたりは大きくないのに、毎月確実に出ていく。

この形の支出を、突発の医療費と同じ費目に入れると、両方とも読めなくなります。突発は年で見るもので、定期は月で見るものだからです。費目を分けるか、メモに同じ言葉を入れて後で分けられるようにしておくと、月の水準と年の変動を別々に追えます。

定期の医療費が家計に占める位置は、金額そのものよりも、それが減らせない支出だという点にあります。減らせない支出の総額を知っていることは、他の費目を考えるときの土台になります。逆に、そこを知らないまま他の費目だけを見ていると、なぜか苦しい、という状態の理由が分かりません。

交通費と、医療費ではない出費

受診に伴って出るお金は、窓口で払う額だけではありません。通院の交通費、遠方の病院への移動、付き添いの食事、入院中の日用品、駐車場代。

これらを医療費の費目に全部入れてしまうと、控除の対象になるものとならないものが混ざります。逆に別々の費目に散らすと、その受診にいくらかかったのかが分からなくなります。

折り合いのつく書き方は、費目は普段どおりに分けたまま、同じ受診に関わる記録のメモに同じ言葉を入れておくことです。あとで検索すれば横断して拾えます。一回の入院にいくらかかったのかを知りたくなるのは、たいてい終わってしばらく経ってからです。

書けなかった時期があっても

家族の誰かが本当に具合が悪い時期、家計簿は開かれません。当然のことです。そして、そういう時期こそ医療費がいちばん多く発生します。

この矛盾は解消できません。できるのは、領収書だけを一箇所に放り込んでおくことくらいです。落ち着いてから日付を見ながら一件ずつ入れれば、金額は正確に復元できます。医療費は数少ない、あとから正確に埋められる費目です。レシートの残らない小額の買い物とは、そこが違います。

落ち着かないまま一年が過ぎても、それはそれで構いません。封筒の中身を数えれば合計は出ます。合計だけでも、翌年の見積もりには十分使えます。

よくある質問

医療費は、払い戻しを引いた正味の額で書くべきですか。

引かずに、払った日に払った額を支出として書き、戻ってきた日にその額を収入として書くほうが実務的です。家計から実際に現金が出た時期がそのまま残りますし、結局戻ってこなかった場合に何もしなくて済みます。過去の記録を書き換える運用は、忘れると数字が宙に浮きます。

医療費控除を使うかどうか、まだ分かりません。何を残しておけばいいですか。

誰の受診か、どこで払ったか、何の費用か、領収書をどこに置いたか。この四つをメモに入れておけば、年が明けてから判断できます。医療費は件数が多くないので、一件あたり十数文字でも負担になりません。使わないと決めたなら、そのメモは無視すればいいだけです。

通院の交通費は、医療費の費目に入れてよいですか。

費目は分けたままでも構いませんが、同じ受診に関わる記録のメモに同じ言葉を入れておくと、あとで横断して拾えます。控除の対象になる交通費とならない交通費があるので、種類まで書いておくと年明けに判断できます。一回の入院の総額を知りたくなるのは、たいてい終わってからです。

毎月の定期通院と、突然の受診は、同じ費目でいいですか。

分けたほうが読めます。定期の通院は固定費に近く、月ごとの水準として見るものです。突発の受診は金額が読めないので、年の合計として見るものです。同じ費目に入れると、月の数字が動いた理由が分からなくなります。

こども医療費助成があると、記録するものがありません。

窓口で払っていないなら書くものはありません。ただ、助成の対象外になるもの、受診に伴う交通費、付き添いの食事は残ります。助成の条件は年齢や地域で変わることがあるので、変わる時期だけ把握しておくと、自己負担が出はじめた月に驚かずに済みます。

入院中で記録できませんでした。あとから入れられますか。

医療費は、あとから正確に復元できる数少ない費目です。領収書と明細が残るので、落ち着いてから日付を見ながら入れれば金額は合います。復元しにくいのは、付き添いの食事や売店での細かい買い物くらいで、そこは合計を一件置いておけば足ります。

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