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帳簿と口座の残高が、いつまでも合わない理由

合わないのが普通です。ずれの原因は数種類しかなく、どれも構造的なものです。追いかける価値のある差と、放っておいてよい差の見分け方。

几帳面に記録を続けている人ほど、この壁にぶつかります。今月の収入から支出を引けば残高になるはずなのに、口座の数字とは合わない。一度合わせようとして、原因を探し始めて、二時間かけても合わず、そこで家計簿をやめる。

先に結論を書いておきます。合いません。合わないのが正常です。そして、合わせることは家計簿の目的ではありません。

ずれの原因は数種類しかなく、そのほとんどは家計の側の落ち度ではなく、支払いの仕組みそのものから来ています。原因の型を知っておくと、追いかけるべき差と、放っておいてよい差が分かれます。

原因の型

カードの締め日と引き落とし日のずれ

いちばん大きな要因がこれです。今月買った分は、締め日でいったんまとまり、翌月あるいは翌々月に口座から引き落とされます。つまり帳簿では今月の支出として立っているのに、口座からはまだ一円も出ていません。

このずれは、カードを一枚使っているだけで一か月ぶん発生します。複数枚あって締め日が違えば、ずれの形も枚数ぶん重なります。合わないのはこの時点でほぼ確定です。

口座振替と自動引き落とし

家賃、光熱費、通信、保険。これらは自分で操作していないので、記録するきっかけがありません。残高だけが静かに減ります。金額が毎月ほぼ同じなので、ずれの額も毎月ほぼ同じになり、この形のずれは気づきやすいほうです。

チャージ残高

交通系 IC やコード決済にチャージした額は、口座からは出ているのに、まだ使われていません。逆に、残高を使って払った支出を帳簿に書いた月には、口座の側は動いていません。財布と口座のあいだに、もう一つ財布があるようなものです。

書き忘れ

本当の意味で追う価値があるのはここだけです。ただし、ほかの型に埋もれているので、先に上の三つを説明できる状態にしないと、書き忘れだけを取り出せません。

日付の取り方

カード払いを買った日で書くか引き落とし日で書くか、支払い手段によって取り方が混ざっていると、ずれの額が月ごとに変わり、原因が追えなくなります。取り方が統一されていれば、ずれは一定の形で出ます。

追う価値のある差、放っておく差

線の引き方は単純です。毎月同じ形で出る差は構造的なもので、追う必要がありません。一度きりの差も、追う価値がありません。追う価値があるのは、二か月続けて出て、しかも形が説明できない差だけです。

なぜ一度きりの差を追わないかというと、原因が特定できる見込みが低いからです。数千件の中から一件の書き忘れを探す作業は、見つかっても得られるものが小さい。その時間を来月の記録に回すほうが、帳簿の質は上がります。

一方、毎月じわじわ差が広がっていく場合は、構造の問題です。書き忘れが一定の割合で発生しているか、二重計上が続いているか、日付の取り方が混ざっているか。この三つのどれかで、どれも一度直せば止まります。

差が広がる方向にも情報があります。帳簿の残高より口座のほうが少ないなら、書き忘れが疑わしい。帳簿より口座のほうが多いなら、二重計上か、家の中の移動を支出として書いている疑いがあります。方向を見るだけで、探す場所が半分になります。

合わせようとするなら、どこで合わせるか

どうしても合わせたいなら、口座の残高ではなく、カードの明細で合わせてください。

カードの明細は、一件ずつの取引が日付と金額と店名つきで並んでいます。自分の帳簿と一行ずつ突き合わせられるので、差の原因がその場で分かります。口座の残高は、いろいろな原因が合流したあとの一つの数字なので、ずれていることは分かっても、なぜかは分かりません。

手順としてはこうなります。

  1. 締め日の翌日に、カードの明細を開きます。
  2. 上から順に、自分の帳簿にない行だけを拾って書き足します。金額と日付だけで足ります。
  3. 逆に、帳簿にあって明細にない行があれば、支払い手段か日付をまちがえているので、そこだけ直します。
  4. 現金と残高払いの分は、この方法では追えません。追わないと決めてください。

最後の一行が実務的には大事です。現金の分を完全に把握しようとすると、財布の中身を毎日数えることになり、その作業は数週間で終わります。

合わないまま使う

家計簿が答えられる問いは、残高がいくらかではありません。残高は銀行のアプリが正確に教えてくれます。家計簿が答えられるのは、何にいくら使ったか、去年の同じ時期と比べてどうか、来年いくら必要そうか、という問いのほうです。

この三つの問いは、多少のずれがあっても答えられます。食費の月ごとの推移を見るのに、残高が一致している必要はありません。年に一度の支出の見積もりを立てるのにも、必要なのは去年の合計であって、口座との一致ではありません。

完全な一致を目標にすると、達成できないので、達成できないことが毎月の失敗として蓄積します。目標を「明細に載っている支出が帳簿に入っていること」に置き換えると、これは達成できます。達成できる目標のほうが、続きます。

よくある質問

家計簿と銀行の残高が合いません。どこが原因ですか。

型は五つです。カードの締め日と引き落とし日のずれ、口座振替、交通系 IC やコード決済のチャージ残高、書き忘れ、そして日付の取り方の不統一。このうち最初の三つは仕組みから来るもので、直しようがありません。追う価値があるのは書き忘れだけですが、それを取り出すには先に他の型を説明できる状態にする必要があります。

どこまで合わせれば十分ですか。

毎月同じ形で出る差と、一度きりの差は追わなくて構いません。二か月続けて出て、形が説明できない差だけが構造的な問題です。差が広がる方向にも情報があり、口座のほうが少なければ書き忘れ、帳簿のほうが少なければ二重計上か家の中の移動を支出として書いている疑いがあります。

照合は口座とカードのどちらでやるのが良いですか。

カードの明細です。一件ずつが日付と金額と店名つきで並んでいるので、帳簿と一行ずつ突き合わせられます。口座の残高は複数の原因が合流したあとの一つの数字なので、ずれていることは分かっても理由が分かりません。

現金の分はどうやって合わせますか。

合わせないと決めるのが実際的です。完全に把握するには財布の中身を毎日数えることになり、その作業は数週間で終わります。現金の支出は使ったときに書く、書けなかった分は空白のままにする、という運用に落とすほうが長く続きます。

毎月じわじわ差が広がっています。

構造の問題なので、一度直せば止まります。候補は三つで、書き忘れが一定の割合で発生しているか、同じ支出が二重に入っているか、カード払いの日付の取り方が支払い手段ごとに混ざっているかです。まず差の方向を見て、探す場所を半分に絞ってください。

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