ボーナスを家計にどう組み込むか
年収のかなりの部分が、年に二回まとめて入ってくる。月の家計と同じ扱いはできませんし、単純に十二で割るのも半分しか正しくありません。配分の順番と、帳簿の上での扱い。
賞与のある家庭では、年間の収入のうち小さくない部分が、年に二回まとめて入ってきます。月々の給与とは金額の桁も、確実性も、使い道の決まり方も違う。にもかかわらず帳簿の上では「収入」の一件として処理されがちで、その結果、入った月だけ収支が跳ね上がり、残りの十か月は何事もなかったように見えます。
この扱いには二つの困りごとがあります。第一に、月ごとの比較が読めなくなること。六月が大幅な黒字で七月が赤字だとして、その二つを並べても分かることはありません。第二に、配分を決めないまま口座に着地すると、賞与は「気づいたら減っていた額」としてしか把握できなくなること。何に使ったか説明できないお金が、年に二回発生することになります。
月割りにしてよい場面と、いけない場面
よく聞く助言は「賞与を十二で割って、毎月の収入に足して考える」です。これは半分正しく、半分危険です。
正しいのは、年間の計画を立てるときです。保険料の年払い、税金、車検、帰省、家電の買い替え。こうした年に一度の支出は、賞与を勘定に入れないと成り立ちません。年単位で見るかぎり、賞与は年収の一部であって臨時収入ではない。
危ないのは、毎月の生活の水準を決めるときです。月割りにして「うちは毎月これだけ使える」と考えると、生活費が賞与を前提とした水準まで上がります。ところが賞与は、給与と違って減ります。業績で下がる、支給の回数が変わる、転職して最初の一年は出ない。生活の水準は上げるのは簡単で、下げるのは難しい。減りうる収入を、減らしにくい支出に変換してしまうわけです。
実務的な線引きは単純です。毎月の生活費は、月々の給与だけで回るように組む。賞与は、年に一度の支出、積立、そして使い切ってよい部分に配る。こうしておけば、賞与が半分になった年に崩れるのは計画の後ろ側だけで、日々の暮らしは動きません。
支給される前に、配分を決めてしまう
賞与の使い道は、入ってから考えると必ず遅れます。振り込まれた残高を見てから決めるというのは、判断がいちばん鈍る条件で決めるということです。
支給の一週間ほど前に、次の順で書き出すのが実際的です。順番そのものに意味があります。
- すでに使い道が決まっている分。ボーナス併用の返済、賞与月に予定していた買い替え、旅行の残金。
- 年に一度の支出への積立。保険料、税金、車検、帰省。次の賞与までの半年ぶんを先に取り分ける。
- 手元に置いておく現金の厚み。生活費の何か月ぶんを確保するか。すでに足りているなら、この行はゼロで構いません。
- 借入の繰上げに回す分。
- 使い切ってよい分。ここは必ず残してください。ゼロにすると、翌年から配分という作業そのものが憂鬱になります。
上から順に埋めていって、五番目に残った額が「自由に使える賞与」です。逆にやると、つまり欲しいものから先に引いていくと、毎回削られるのは二番目と四番目になります。そして削られたことは、その場では何の痛みも伴いません。
ボーナス払いを前提にした支出
住宅ローンのボーナス併用、カードのボーナス一括、分割の後半を賞与で片づける約束。どれも、まだ受け取っていないお金を先に使う形をしています。
これらが弱いのは金額が大きいからではありません。減額に対する耐性がないからです。月々の返済は賞与が減っても変わらない。賞与併用の部分だけが、収入の変動をまともに受けます。いちばん不安定な収入を、いちばん硬い支出に結びつけている形です。
すでにこうなっているなら、まず比率を出してください。年間の賞与のうち、支給前から使い道が決まっている割合はどれくらいか。この比率が半分を超えているなら、次の配分では繰上げよりも積立を先に置く理由があります。積立は取り崩せますが、返済の約束は取り崩せません。
帳簿の上での扱い
記録そのものは単純です。賞与は収入として一件、支給日の日付で入れる。金額を分割したり、十二件に割って毎月に置いたりする必要はありません。帳簿は起きたことを書く場所であって、解釈を書く場所ではないからです。
問題は、その一件が月ごとの見え方を壊すことです。ホーム画面には期間の合計と前の期間との差が出ますし、統計には期間ごとの推移が出ます。賞与の月だけ収入が跳ねると、その前後の比較は読めなくなります。
対処は旅行のときと同じで、印をつけることです。メモに「賞与」と書いておく。あるいは収入の分類を給与と賞与で分けておく。年に二回しかない出来事なので、探す手間はほとんどありません。分類は自分で追加も並べ替えもできるので、最初の支給のときに一度作れば済みます。
もう一つ、賞与から積み立てた分をどう書くかを先に決めて、統一してください。別の口座に移しただけなら、それは支出ではありません。家庭の中でお金が動いただけです。ここを支出として書くと、年間の支出額が実際より大きく出て、しかもその額は使われずに残っているという、二重にまぎらわしい状態になります。Fambook の貯金プランは、この「まだ使っていないお金」を追うための仕組みで、既定では帳簿に記録を作りません。作るかどうかは自分で選べます。
出なかった年のために
最後に、いちばん書きにくいことを書いておきます。賞与は多くの会社で業績によって変わり、出ない年、半分になる年は実際に起こります。
そのときに効くのは、前の年の配分の記録です。去年の賞与を何にいくら配ったかが残っていれば、今年の減った額をどこから削るかは、先ほどの順番を下から逆にたどるだけで決まります。記録がなければ、削る場所を毎回ゼロから考え直すことになり、たいていは先送りが選ばれます。
賞与の記録が本当に役に立つのは、多かった年ではなく、少なかった年です。そして少なかった年は、記録を取り始めた年には来ません。数年後に来ます。
よくある質問
ボーナスは十二で割って、毎月の収入として考えるべきですか。
年間の計画を立てるときはそうしてください。年に一度の大きな支出は、賞与を勘定に入れないと成り立ちません。ただし毎月の生活費の水準を決めるときに月割りを使うのは避けたほうがいい。賞与は減ることがあり、生活の水準は下げにくいからです。生活費は月々の給与だけで回る形に組んでおくのが安全です。
ボーナスを帳簿に入れると、その月だけ数字が跳ねて読めなくなります。
メモに「賞与」と書くか、収入の分類を給与と賞与で分けてください。年に二回しかないので手間はごくわずかです。印さえあれば、あとから外して見ることも、賞与だけを年で足すこともできます。金額を分割して月に散らすのはおすすめしません。帳簿は起きたことを書く場所です。
積立に回した分は、支出として記録しますか。
しないでください。別の口座に移しただけなら、それは家庭の中でお金が動いただけで、外に出ていません。支出として書くと年間の支出額が実際より大きく出ます。どちらにするかを決めて統一することのほうが、どちらを選ぶかより大事です。
ボーナス払いはやめたほうがいいですか。
ここで一般論を言う立場にはありません。ただ、性質としては、いちばん変動しやすい収入を、いちばん変更しにくい支出に結びつける形になっています。まず年間の賞与のうち何割が支給前から使い道が決まっているかを出してみてください。その比率が半分を超えているなら、次の配分で積立を先に置く理由はあります。
ボーナスが出ない年に備えて、何を記録しておけばいいですか。
配分の内訳です。今年の賞与を何にいくら配ったかが残っていれば、減った年に削る場所は順番を逆にたどるだけで決まります。金額だけを記録しても、この用途には使えません。メモに配分の五行を書いておくだけで足ります。
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