家計簿の締め日は、月初と給料日のどちらにすべきか
既定値は月初です。けれど二十五日払いの家庭では、給料日の直後と直前が別々の月に振り分けられます。締め日を動かすと何が良くなり、何を失うのか。
ほとんどの家計簿は、何も指定しなければ一日から末日までを「ひと月」として数えます。ところが日本の給与は二十五日払いが多く、末日払いの会社もあり、ちょうど一日に振り込まれる家庭はまれです。つまり多くの家庭で、お金が入る日と、帳簿が締まる日が一週間ほどずれています。
ずれ自体は害ではありません。害になるのは、そのずれが実際の行動と噛み合っていないときです。給料日の翌週末に食料品と日用品をまとめ買いし、月末の残りが心もとない週は買い物を控える。この波は給料日を起点にした一巡ぶんの波であって、暦のひと月の波ではありません。暦で切ると、ひとつの波が二つの月に割られます。
暦の月で切ると、画面と実感が合わなくなる
具体的にはこうです。二十五日に給与が入り、その週末に大きな買い物をする。この買い物は、暦の上では当月の記録です。一方、翌月の一日から二十四日までは、前の給与で暮らしている期間なのに、次の月の記録として集計されます。したがって「今月は使いすぎた」という感覚と、画面に出ている合計が、そもそも別のものを指しています。
この不一致は、月末に近づくほど強く出ます。二十八日ごろに「今月はもう予算が残っていない」と感じても、実際には三日後に給与が入り、そこから買う予定のものが控えている。逆に一日になって数字がゼロに戻っても、財布の中身が戻ったわけではありません。数字がリセットされる瞬間と、家計が実際にリセットされる瞬間が違う。
家計簿が続かなくなる理由の少なくない部分が、この種の小さな噛み合わなさに由来します。合わない数字を毎日見に来る人はいません。
給料日締めにすると得られるもの
- ひと区切りが、お金を使う一巡と一致します。入って、次に入るまでに使う。その単位で合計が出る。
- 月末の切り詰めと、給料日直後のまとめ買いが、同じ期間の中に収まります。片方だけを切り取った数字が出なくなる。
- 固定費の位置が安定します。二十五日締めなら、月末の引き落としと翌月頭の家賃が、期の前半にまとまる。
- 「今期あといくら残っているか」という問いが、口座の残高と近い意味を持つようになります。
給料日締めの代償
正直に書きますが、これには代償があります。
- 外の数字と比べにくくなります。カードの請求も、公共料金も、統計も、暦の月で出る。自分の帳簿だけ二十五日区切りだと、突き合わせのたびに換算が要ります。
- 年をまたぐところが面倒です。十二月二十五日から一月二十四日までを「十二月」と呼ぶのか「一月」と呼ぶのか。先に決めておかないと、一年後の自分が必ず混乱します。
- 家庭の中で締め日が食い違うと機能しません。二人の給料日が別なら、どちらか一方に寄せるしかない。
- 賞与や、年に一度の大きな支出の位置が、暦からずれます。ずれること自体は問題ありませんが、覚えておかないと探せません。
月初のままにしておいたほうがいい家庭
次のどれかに当てはまるなら、締め日をいじる価値は薄いです。
- 収入が月に何度も入る、あるいは日ごとに入る。自営、歩合、掛け持ち。基準にすべき給料日が一つに定まりません。
- 生活が給料日の波に支配されていない。口座に常にひと月ぶん以上の余裕があるなら、切れ目はどこでも同じです。
- 二人の給料日が違い、しかもどちらも家計の主要な収入である。
- カードの請求や公共料金との突き合わせを、月に何度もする。
逆に、給料日の翌日に買い物の山があり、月末の三日間に谷があるなら、その山と谷は同じ期間に入れるべきものです。
決め方の手順
- 直近三か月の記録を、合計ではなく日付順の並びで眺める。見るのは金額ではなく、支出が起きた日の分布です。
- 明らかに支出が増える日があるかを探す。給料日の当日、翌日、その週末のどこかに山があるか。
- 山がない、あるいは月内にばらけているなら、締め日を変えても得るものはほとんどありません。暦のままにしてください。
- 山があるなら、給料日そのものを期の初日にする。その前日が期末です。
- 決めたら、その区切りの呼び名を先に決める。おすすめは、期の終わりの月ではなく、給与が入った月の名前を使うことです。
- 三か月やってみて、実感と数字が近づいたかどうかだけで判定する。近づかなければ戻せばいい話です。
帳簿の上でどう実現するか
ここも正直に書きます。多くの家計簿アプリは暦の月を前提にしていて、Fambook の予算も月単位です。締め日を任意の日にずらす設定に依存すると、将来ほかの道具に移りにくくなるという副作用もあります。
現実的な方法は二つあります。一つは、記録は暦の月のまま置いておいて、判断のときだけ給料日を基準に見ること。各記録には自分で選んだ日付と時刻が入っていますし、CSV に書き出せば表計算で好きな区切りに切り直せます。書き出しの機能は、こういう用途のためにあります。
もう一つは、締め日を動かすのではなく、給料日の直後にやることを固定してしまうことです。入った日に固定費と積立を先に動かし、残りで暮らす。この形にすると、締め日がどこにあっても、実感と数字のずれは小さくなります。締め日をめぐる悩みの多くは、実はこの「先に取り分ける」をやっていないことの症状です。
途中で変えるときに、必ず起きること
一つだけ、確実に人を混乱させる変え方があります。ある月の途中で締め日を変えて、その前後をそのまま比べることです。
締め日を変えた最初の期は、日数が必ず変わります。移行の期が二十四日ぶんしかない、あるいは三十八日ぶんになる。この期の合計を前の月と並べても、読み取れることは何もありません。にもかかわらず、画面には前の期間との差が出ます。
対処は簡単で、移行した期にメモを一行残しておくことです。「この期は二十四日ぶん」と書いておけば、半年後にグラフを見て首をかしげずに済みます。数字そのものを補正する必要はありません。補正すべきなのは、その数字が何を指しているかについての自分の記憶のほうです。
そしてもう一つ。締め日を変えたからといって、使う額が減るわけではありません。変わるのは見え方だけです。見え方が実感と合うようになれば記録は続きやすくなり、続けば判断の材料が増える。効果があるとすればそこまでで、それ以上を期待すると、また別の設定をいじりたくなります。
よくある質問
給料日が二十五日です。締め日も二十五日にすべきですか。
まず直近三か月の記録を日付順に並べて、二十五日の前後に支出の山があるかを見てください。山があるなら、その山と、その前の月末の谷は同じ期間に入れるべきです。山がなく月内に散らばっているなら、締め日を変えても見え方は変わらないので、暦のままのほうが外の数字と比べやすい。
夫婦で給料日が違います。
どちらか一方に寄せるしかありません。寄せる先は、金額が大きいほうではなく、日々の買い物の波を作っているほうです。両方が家計の主要な収入で、しかも波の作り方も同程度なら、暦の月のままにしておくほうが揉めません。締め日は共有できて初めて意味を持ちます。
締め日を変えたら、前の月と比べられなくなりませんか。
移行した最初の期だけは比べられません。日数が違うからです。その期にメモを一行残しておけば、あとから見て混乱せずに済みます。二期目からは日数が揃うので、通常どおり比較できます。
アプリの側で締め日を変える設定がないときは。
記録は暦の月のまま置いて、判断のときだけ切り直すのが実際的です。各記録には日付が入っているので、CSV に書き出せば表計算で任意の区切りに集計できます。年に数回しかやらない作業のために、日々の記録の形を歪めるほうが割に合いません。
締め日を変えれば、使いすぎは直りますか。
直りません。変わるのは見え方だけです。ただし、見え方が実感と合うようになると記録が続きやすくなり、続けば判断の材料は増えます。使う額そのものを動かしたいなら、給料日に固定費と積立を先に取り分けるほうが、締め日をいじるより確実です。
ひと月ためしてみる
Fambook は家族にひとつの共有帳簿を渡します。誰でも数秒で一件書けて、どの記録にも誰が使ったかが残り、ひと月の合計が二か所ではなく一か所にまとまります。圏外でも記録でき、あとから同期します。記録、カテゴリ、予算、統計、CSV の入出力、同期、二人での共有は無料。課金で買えるのは「入力の手間が減ること」だけです。