ご祝儀・香典・お年玉を、家計簿にどう書くか
冠婚葬祭のお金は、現金で、金額が大きく、時期が偏り、しかも領収書が出ません。日々の費目に混ぜると、その月の数字が全部読めなくなります。分けて書くための実務。
家計簿が一年ほど続いている家庭でも、いちばん穴が残りやすいのが冠婚葬祭です。理由ははっきりしていて、この種のお金は他のどの支出とも性質が違うからです。現金で渡す。金額が大きい。レシートも領収書も出ない。渡す場面で手帳を開くわけにいかない。そして、記録するという発想そのものが、少し不謹慎に感じられる。
それでも書いておく価値はあります。冠婚葬祭は、一回ごとの発生は読めないのに、一年ぶんの合計はある程度安定するという、家計の中では珍しい性質を持っています。読めないのが回で、読めるのが年である以上、年で管理するしかない。そして年で管理するには記録が要ります。
日々の費目に混ぜてはいけない
最初に決めるべきは、これを独立した費目にするかどうかです。答えは、するべきです。
理由は金額の大きさではなく、時期の偏りにあります。結婚式は特定の季節に集中しますし、お年玉は一月に固まります。この支出を「交際費」や「その他」に混ぜると、その月だけ特定の費目が跳ね上がり、しかも原因が費目名からは読み取れません。半年後に「なぜ十月の交際費だけ高いのか」を考え直す羽目になります。
独立させておけば、月の統計を見た瞬間に理由が分かりますし、年間の合計もそのまま出ます。カテゴリを細かくすることは基本的におすすめしませんが、ここは例外です。細分化の価値は「その分類が何かの判断に効くか」で決まると書いてきました。この費目は効きます。来年の見積もりを作るときに、必ず参照することになるからです。
カテゴリは自分で足したり並べ替えたりできるので、最初の一件が発生したときに作れば十分です。年に何度も使うものではないので、並び順は上のほうでなくて構いません。
出したものと受け取ったものを、相殺しない
冠婚葬祭のお金は双方向です。ご祝儀を包む年もあれば、いただく年もある。お年玉は渡すと同時に、子どもが受け取ります。
ここで、差し引いた額だけを書きたくなる誘惑があります。おすすめしません。相殺すると、両方の規模が同時に見えなくなるからです。
具体的にはこうです。ある年にご祝儀を三件包み、自分の側では何も受け取らなかった。翌年はその逆だった。相殺した記録では、この二年は似た数字になります。実際には、家計から出て行った現金の量はまったく違う。そして家計が知りたいのは正味の損得ではなく、その年に現金がいくら出て行ったかのほうです。
書き方は単純です。出したものは支出として一件、受け取ったものは収入として一件。同じ出来事に関わっていても、行は分ける。同じ日に両方が起きたなら、両方書く。
お年玉は誰のお金か
これは記録の問題である前に、家庭の中で先に合意しておくべき問題です。
選択肢は実質的に三つあります。
- 子どものお金として扱い、子ども名義の口座なり貯金箱なりに全額入れる。家計の収入にはしない。
- 家計が預かり、必要なときに子どものために使う。この場合は家計の収入として記録することになる。
- 一部を子どもに渡し、残りを預かる。年齢に応じて比率を変える家庭が多い。
どれが正しいということはありません。ただ、決めずに毎年その場で処理するのがいちばん悪い。子どもは覚えていますし、兄弟で扱いが違うと、数年後に必ず問題になります。
記録の観点だけで言えば、預かる形にするなら、預かった額をどこかに残しておかないと、数年後に総額が誰にも分からなくなります。家計の口座に混ぜてしまうと、事実上は使ってしまったのと同じことになる。意図してそうするのは構いませんが、意図せずそうなるのは避けたいところです。預かった額を貯金プランの目標として置いておくと、帳簿とは別に残高だけを追えます。
記録に何を書くか
金額だけを書いても、一年後にはほとんど役に立ちません。メモに三つ入れておくと、次に同じ場面が来たときにそのまま使えます。
- 誰に対してか。名前でも、関係でも構いません。いとこ、同僚、近所、取引先。
- 何の名目か。結婚、出産、葬儀、年始、入学、快気、新築。
- 渡した形。現金か、品物か、両方か。
これが効くのは、次に同じような関係の相手に何かを渡すときです。相場を検索するより、三年前に自分の家がどうしたかを見るほうが、はるかに実態に合います。地域の慣習も、親族の中での位置も、相手との距離も、その一行にはすでに織り込まれているからです。
記録は渡した当日にしてください。冠婚葬祭は移動と準備で一日が潰れることが多く、翌日には金額そのものは覚えていても、包んだ額と、交通費や宿泊費との切り分けが曖昧になります。Fambook は各記録をまず端末のデータベースに書いてから送るので、式場や斎場のように電波の悪い場所でも記録は成立しますし、まだ送れていない件数はホーム画面に出ます。
ついでに言えば、冠婚葬祭の本当の費用は包んだ額だけではありません。交通費、宿泊、衣装、美容院、引き出物のお返し。これらは別の費目に散らばりますが、同じ日のメモに同じ言葉を入れておけば、後から検索で全部拾えます。「一回でいくらかかるのか」を知りたければ、その拾い方をするしかありません。
年で見る
冠婚葬祭は、月の予算に置くべき項目ではありません。ある月はゼロで、ある月は月収の何割かになる。月の上限を決めたところで、守れるかどうかは自分の行動とほとんど無関係です。
置くとすれば年単位です。一年ぶんの記録が溜まったら合計を出し、それを十二で割った額を毎月積み立てる項目として扱う。年に一度の不定期支出とまったく同じ扱いで、実際、性質もほぼ同じです。違うのは、車検や保険料と違って日程が事前に分からないことだけで、金額の規模は年で見れば安定しています。
一年目は当てになる数字がないので、多めに見積もって、余ったら翌年に繰り越すのが無難です。二年目からは、自分の家の記録が最良の見積もりになります。世の中の相場表は、あなたの親族の人数も、友人の年齢層も、住んでいる地域も知りません。
年で見るようになると、もう一つ副産物があります。ある年に急に増えた理由が説明できるようになる。友人の結婚が重なった年、親族に不幸が続いた年。説明のつく増加は、家計にとって問題ではありません。問題なのは、説明のつかない増加のほうです。
よくある質問
ご祝儀や香典を家計簿に書くのは、気が引けるのですが。
感情としては自然ですが、書かないと年間の合計が分からなくなり、翌年の見積もりが立ちません。記録は評価ではなく、出て行った現金の量の記述です。気になるなら、メモに書くのは名目と関係だけにして、事情を書かないという運用にしてもかまいません。
いただいたご祝儀と、包んだご祝儀を相殺して書いてもいいですか。
おすすめしません。相殺すると両方の規模が同時に見えなくなります。三件包んで何も受け取らなかった年と、その逆の年が、似た数字になってしまう。家計が知りたいのは正味の損得ではなく、その年に現金がいくら出て行ったかのほうです。支出と収入で行を分けてください。
お年玉は家計の収入として記録すべきですか。
家庭でどう扱うかを先に決めてください。子どものお金として全額を子ども名義に入れるなら、家計の収入にはしません。家計が預かるなら収入として記録することになります。どちらでも構いませんが、預かる形にするなら預かった総額をどこかに残しておかないと、数年後に誰も分からなくなります。
この費目に月の予算を置くべきですか。
置かないほうがいいです。ある月はゼロで、ある月は跳ね上がる。守れるかどうかが自分の行動と無関係な上限は、破れても情報になりません。年間の合計を出して十二で割り、毎月の積立として扱うほうが筋が通ります。年に一度の不定期支出と同じ考え方です。
式場や斎場で電波が入らず、その場で記録できません。
保存に通信を必要とするアプリだと、まさにこういう場面で書けません。Fambook は各記録をまず端末に書いてから、あとで送ります。まだ送れていない件数はホーム画面に出るので、圏外の時間が続いても何件が保留かは見えています。機内モードで一件入れてみれば、事前に確かめられます。
交通費や宿泊費も、同じ費目に入れるべきですか。
費目は分けたままで構いませんが、同じ日のメモに同じ言葉を入れておいてください。あとから検索すれば全部まとめて拾えます。包んだ額だけを見ていると、その一回にかかった本当の金額を見誤ります。遠方の式では、交通と宿泊のほうが大きくなることも珍しくありません。
ひと月ためしてみる
Fambook は家族にひとつの共有帳簿を渡します。誰でも数秒で一件書けて、どの記録にも誰が使ったかが残り、ひと月の合計が二か所ではなく一か所にまとまります。圏外でも記録でき、あとから同期します。記録、カテゴリ、予算、統計、CSV の入出力、同期、二人での共有は無料。課金で買えるのは「入力の手間が減ること」だけです。