家電の買い替えのような大きな一回を、月の家計にどう収めるか
買った月に全額を載せるか、使う年数で割るか。二つの書き方は、答えている質問が違います。どちらが正しいかではなく、何を知りたいのかで決まります。
洗濯機が止まった週の家計簿は、その月だけグラフの形が変わります。他の月と並べても比較になりません。翌月にその画面を開いて、何かとんでもない使い方をした月に見えて、しばらく理由を思い出せない。よくあることです。
この一件をどう書くかには、大きく二つの流儀があります。買った月に全額を載せる書き方と、使う年数で割って毎月少しずつ載せる書き方。どちらにも、正しく捉えるものと、誤らせるものがあります。
買った月に全額を載せると、何が見えなくなるか
現金の動きとしては、これがいちばん正直です。実際にその月に、その額が家計から出て行ったのですから。口座の残高とも合いますし、あとから明細と突き合わせても矛盾しません。
誤らせるのは、月ごとの比較のほうです。その月の合計が跳ね上がるので、他の費目が普段どおりでも、全体としては使いすぎた月に見える。翌月にグラフを見て、原因が洗濯機だったことを忘れていると、意味のない反省をすることになります。
そして、その月に上限を置いていた場合、上限は必ず破れます。破れるべくして破れた上限は、情報を生みません。破れることが分かっている月に上限を置くのは、あまり意味のない作業です。
年数で割って載せると、何が見えなくなるか
使う年数で割って毎月少しずつ計上する書き方は、その家電が家計にどれくらいの重さで存在しているかを表します。月ごとの比較は壊れません。他の固定費と並べて眺めることもできます。
誤らせるのは、現金のほうです。実際には一度に大きな額が出ているのに、記録の上ではそれが見えない。口座の残高と記録が合わなくなり、なぜ減っているのかが説明できなくなります。家計簿と残高が合わない理由が一つ増えるということでもあります。
それに、その家電が何年もつかは、買った時点では分かりません。割る数が推測なので、記録に推測が混ざります。推測の混ざった数字は、あとから見ても検証できません。三年で壊れたら、残りをどう処理するかという作業が発生します。
知りたいのはどちらなのかを、先に決める
二つの書き方は、答えている質問が違います。
- 今月、家計からいくら現金が出て行ったのか。これを知りたいなら、買った月に全額。
- 普段の生活は、どれくらいの水準で回っているのか。これを知りたいなら、大きな一回を除いて見る。
実務的に楽なのは、記録は現金のとおりに一件で書いて、見るときに除外する方法です。書き方を工夫するのではなく、見方を切り替える。記録を事実のままにしておいたほうが、あとで何にでも使えます。
除外して見られるようにするには、その一件に印が要ります。費目を一つ作るか、メモに同じ言葉を入れるか。年に数件しか発生しないので、どちらでも手間は変わりません。印さえあれば、あとで、この年は買い替えを除くとこの水準だった、と言えます。
分割払い、保証、下取り
大きな買い物には、金額以外の要素が付いてきます。書き方を先に決めておくと、あとで混乱しません。
分割払いにした場合、記録の日付をどこに置くかで意味が変わります。買った日に全額を書けば、いつ何を買ったかは残りますが、毎月の口座の動きとは合わなくなります。引き落としの日ごとに書けば口座とは合いますが、何年か後にその家電がいくらだったのかを調べるのが面倒になります。家計簿としては、買った日に全額を書いて、支払いの進み具合は別に管理するほうが読みやすくなります。
長期保証や延長保証の料金は、本体と同じ日に、同じ言葉のメモを付けて書いておくと、あとから本当の総額が出ます。数年後に故障して保証を使うとき、いつ入ったのかを探す手間も減ります。同じことは、設置費用や古い機械の引き取り料にも言えます。
下取りやポイントで安くなったぶんをどう書くかは、決めておけばどちらでも構いません。差し引いた額だけを書くなら、あとで型番から相場を調べても記録と合わないことだけ覚えておいてください。相場と比べたい年が来たときに、少し困ります。
買い替えは、いつか必ず来る
家電も家具も、寿命の長さは違っても、いずれ必ず買い替えになります。一つも起きない年もあれば、続けて三つ壊れる年もある。ある年に壊れなかったからといって、その家庭に買い替えの費用が存在しないわけではありません。
だから、月の予算に組み込むのではなく、年に一度の不定期な支出と同じ枠で考えるほうが実態に合います。数年ぶんの記録が溜まると、この家庭で年にどれくらいの買い替えが起きているかが見えてきます。何年か並べると、意外に安定していることが多い。
記録の役割は、ここまでです。何を買うべきか、いくら備えるべきかは、この文章の範囲ではありません。ただ、過去に何をいつ買ったかを見られるようにしておくと、次に何かが止まったときに、判断が少しだけ早くなります。前に買ったのが何年前だったか、というだけの情報でも、その場ではかなり役に立ちます。
よくある質問
高額な家電は、使用年数で割って毎月計上したほうがいいですか。
月ごとの比較は壊れませんが、実際に出て行った現金が見えなくなり、口座の残高と合わなくなります。何年もつかも買った時点では分かりません。記録は現金のとおりに一件で書いておいて、月の比較をするときにその一件を除いて見るほうが、あとで何にでも使えます。
大きな買い物をした月は、予算を超えて当然ですか。
その月に上限を置いていれば、まず破れます。破れることが分かっている上限は情報を生みません。買い替えは月の予算ではなく、年に一度の不定期な支出と同じ枠で考えるほうが実態に合います。数年ぶんの記録が溜まると、年あたりの水準が見えてきます。
分割払いは、買った日と引き落とし日のどちらで書きますか。
買った日に全額を書くほうが、何をいつ買ったかが残ります。引き落としごとに書くと口座の動きとは合いますが、後からその品物の値段を調べるのが面倒になります。支払いの進み具合は家計簿とは別に管理しておくと、両方の見方ができます。
長期保証や設置費用は、本体と分けて書くべきですか。
費目を分けても構いませんが、同じ日に同じ言葉のメモを付けておいてください。あとから検索すれば本当の総額が出ますし、数年後に保証を使うときに、いつ入ったのかを探す手間も減ります。引き取り料や工事費も同じ扱いにしておくと読みやすくなります。
下取りやポイント値引きは、どう書けばいいですか。
差し引いた実際の支払額を書いても、定価と値引きを別に書いても構いません。ただ、差し引いた額だけを書くと、後から型番で相場を調べたときに記録と合いません。どちらの書き方にするかを決めて、年をまたいで変えないことのほうが大切です。
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