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一年ぶんの家計を、二時間以内に振り返る

振り返りが続かないのは、見る量が多すぎるからです。見るものを四つに絞ると終わります。そして前年同月比は、家庭ではあまり機能しません。

年末年始、少し時間ができたときに一年ぶりに年間の画面を開いて、費目の並びを上から眺めて、数分でため息をついて閉じる。振り返りをしようと思って、結局しないまま年が明ける。かなりよくある光景です。

続かないのは、見る量が多すぎるからです。一年ぶんの記録には数百件から数千件が入っていて、全部を眺めることには意味がありません。見る量を最初に絞れば、二時間かからずに終わります。

見るのは、四つで足りる

順番に出すだけで、一年の形はだいたい分かります。

  1. 一年の合計と、月あたりに直した額。これがいちばん上の数字です。
  2. 上位五つの費目と、その合計。たいていの家庭で、上位五つが全体の大半を占めます。
  3. 月ごとの合計を並べた形。金額そのものより、山と谷がどこにあるか。
  4. 説明のつかない月。他と明らかに違う月が、一つか二つあるはずです。

この四つ以外は、最初は見なくて構いません。細かい費目の増減は、上の四つを見たあとで気になったところだけ掘れば十分です。掘らずに終わっても、何も損はしません。

特に三番目が効きます。家計は月ごとにかなり大きく揺れるもので、その揺れの形は家庭ごとに固有です。税金や保険料の時期、行事の時期、旅行の時期。この形が分かると、翌年の段取りが立てやすくなります。どの月に現金が要るかは、合計よりずっと実用的な情報です。

前年同月比が、家庭ではあまり効かない理由

企業の会計では前年同月比が使われますが、家庭ではこの見方があまり機能しません。理由は、比べている二つの月の条件が違いすぎるからです。

子どもは一つ年を取り、進学や進級で費目が入れ替わります。引っ越し、転職、家族構成の変化、働き方の変化。去年の十月と今年の十月は、同じ十月というだけで、中身は別物です。数字が違っていて当たり前で、違っている理由の候補が多すぎて、絞れません。

そのうえ、去年の記録には抜けがあります。抜けのある数字と、抜けの少ない数字を比べれば、増えたように見えます。増えたのは支出ではなく、記録の精度かもしれません。この可能性を排除できないので、前年同月比の差は、そもそも解釈が定まりません。

比べるなら、月ではなく年の合計、それも二年より三年並べたほうが読めます。三年並べると、一度きりの出来事と、続いている傾向の区別がつきます。二年だと、その差が出来事なのか傾向なのかを決められません。

抜けている月を、どう扱うか

一年を通して全部書けている家庭は、それほど多くありません。忙しかった月、旅行の月、体調を崩した月。空白があるのが普通です。

空白を無理に埋める必要はありません。埋めると、思い出せる大きい支出だけが入り、思い出せない小額が抜けるので、その月だけ構成が歪みます。歪んだ月は、比較のときに誤解のもとになります。

実務的なのは、空白の月に印を付けておいて、合計を見るときに、この年は十か月ぶん、と読むことです。十か月ぶんの数字は、十二か月ぶんに引き伸ばした推測より、はるかに扱いやすい。

そして、空白があったこと自体は、振り返りの対象にしないでください。書けなかった月には書けなかった理由があり、その理由はたいてい家計とは関係のないことです。

費目の設計を、一年に一度だけ見直す

一年ぶんを眺めていると、ほとんど使っていない費目と、中身が混ざりすぎている費目が見えてきます。ここが、費目を触るのに唯一適したタイミングです。

年の途中で費目を変えると、その年の集計が分断されます。年の変わり目なら、分断は起きません。逆に言えば、途中で気になっても、年末まで我慢するほうが後で読めます。

見直しの基準は一つで、その費目を分けていることで何か判断が変わったかどうかです。一年間見てきて、一度も判断に使わなかった細分化は、来年はまとめてしまって構いません。逆に、一つの費目の中身が気になって毎回中を開いていたなら、それは分ける価値があるということです。

年に一度しか起きないものを、拾い直す

年間で見ると、月次では埋もれていた支出がまとまって見えます。保険料、税金、車検、帰省、年末年始、冠婚葬祭、家電の買い替え。

これらは月の予算では捉えられません。捉えようとしても、発生する月に必ず破れます。年の合計を出して、それを十二で割った額を毎月の積立として扱うほうが筋が通ります。

一年ぶんの実績があれば、この割り算はかなり正確にできます。二年目からは、自分の家の記録が最良の見積もりになります。世の中の平均は、あなたの家の親族の人数も、車のあるなしも、住んでいる場所も知りません。

来年に持ち越すのは、数字ではなく一つの決め事

振り返りの最後に、来年の予算を全費目ぶん作りたくなります。ただ、その予算は、たいてい二月には見なくなります。作った時点では正しく見えても、根拠が今年の実績ではなく願望になっている欄が混じっているからです。

持ち越す価値があるのは、一つか二つの決め事です。この費目だけは上限を置く。この行事の費用は事前に取り分けておく。この記録のしかたはやめる。数を絞るほど、実際に残ります。

そして、その決め事の根拠は、今年の自分の記録の中にあるはずです。世間の平均でも、去年の目標でもなく、実際に自分の家で起きたこと。それが、一年ぶん書いておいたことの、ほぼ唯一の見返りです。

振り返りが終わったら、閉じて構いません。次に開くのは一年後でも、来月でも、どちらでも構いません。

よくある質問

年間の振り返りでは、何から見ればいいですか。

年の合計と月あたりに直した額、上位五つの費目、月ごとの合計を並べた形、そして説明のつかない月。この四つで一年の形はだいたい分かります。細かい費目の増減は、この四つを見たあとで気になったところだけ掘れば十分です。

前年同月比を見る意味はありますか。

家庭ではあまり機能しません。子どもの学年も、住まいも、働き方も一年で変わるので、同じ月というだけで中身が別物になります。加えて去年の記録には抜けがあり、増えて見えるのが支出なのか記録の精度なのかを区別できません。比べるなら年の合計を三年並べるほうが読めます。

記録が抜けている月があります。埋めてから振り返るべきですか。

埋めなくて構いません。記憶で埋めると大きい支出だけが入って小額が抜けるので、その月だけ構成が歪み、比較のときに誤解のもとになります。空白の月に印を付けておいて、この年は十か月ぶんの数字だと分かる形にしておくほうが扱いやすいです。

費目の整理は、いつやるのがいいですか。

年の変わり目です。途中で変えるとその年の集計が分断されます。基準は、その費目を分けていることで一年のあいだに何か判断が変わったかどうか。一度も使わなかった細分化はまとめて構いませんし、中身が気になって毎回開いていた費目は分ける価値があります。

来年の予算は、全部の費目に決めたほうがいいですか。

全費目ぶん作った予算は、二月には見なくなることが多いです。根拠が今年の実績ではなく願望になっている欄が混じるからです。持ち越すのは一つか二つの決め事に絞るほうが実際に残ります。根拠は今年の自分の記録の中にあるはずです。

年に一度しか出ない支出は、どう扱えばいいですか。

月の予算では捉えられません。発生する月に必ず破れるからです。保険料、税金、車検、帰省、冠婚葬祭、家電の買い替えを年の合計として出し、それを十二で割った額を毎月の積立として扱うほうが筋が通ります。一年ぶんの実績があれば、この割り算はかなり正確にできます。

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