毎月の収入が違うときの予算の立て方
固定給を前提にした方法は、フリーランス・歩合・シフト勤務では即座に崩れます。受け取らない平均値ではなく、自分の支出と悪い月に合わせて組む。
家計の方法論の多くには、書かれていない前提があります。毎月決まった日に決まった額が入る、という前提です。フリーランス、歩合、シフト、季節性の商売——これらではその前提が成り立たず、したがって方法も成り立ちません。
平均は罠
いちばん自然なのは去年の収入を十二で割り、その数字を月収として予算を組むことです。算術としては正しく、運用としては連続して失敗します。
理由は、あなたが**その平均額を実際に受け取ることが一度もない**からです。受け取るのは上下する数列です。平均で組んだ予算は、平均を下回る月に必ず超過し、連続超過はもっとも効く離脱要因です。三か月もすれば家計簿は自分の失敗の記録に変わります。
順番も効きます。悪い月が先に来れば、良い月が来る前にやめています。
基準を替える:収入ではなく支出に合わせる
収入が動くとき、動かない量は自分の支出のほうです。だから順序を逆にします——生きるのにいくら要るかを先に確定し、収入がそれを覆えるかを見る。
最初の作業は**下限**を出すことです。今月まったく余分を使わないとして、必ず出ていく額はいくらか。家賃、光熱、通信、返済、保険、最低限の食費。この数字は今月いくら稼いだかとは無関係に固定です。
下限が出れば、予算の問いは「今月いくら使えるか」から「今月の収入は下限を覆うか、超えた分をどうするか」に変わります。後者は答えられる問いです。
良い月に悪い月を支えさせる
収入が動くことの本質的な困難はお金が少ないことではなく、**入る時期と出る時期がずれている**ことです。解決の方向は一つしかありません。良い月のお金を悪い月まで持ち越すことです。
具体的には自分に給料を出します。良い月に入ったお金を全部は使わず、下限に一定の余裕を足した額だけ取り出す。残りは置いておく。悪い月は置いた分から同じ額まで補う。
こうすると、上下する収入が、自分で決めた安定した使用可能額に変換されます。安定した額さえあれば、固定給を前提にした方法がまた使えるようになります。
この「自分への給料」は低めに設定してください——平均収入ではなく下限の近くに。低すぎれば残りが積まれるだけですが、高すぎれば平均の罠に戻ります。
割合のルールは使わない
50/30/20 のたぐいは Elizabeth Warren と Amelia Warren Tyagi の 2005 年の All Your Worth に由来し、対象は手取りです。ここでも暗黙の前提は収入が比較的安定していることです。毎月変わる基数に割合を掛ければ、毎月変わる予算が出てきます。変わる予算では計画が立てられません。
収入が動くときは**絶対額**で持ちます。今月の生活費はいくら、という一つの数字であって、比率ではありません。
この状況では記録の価値が上がる
収入が一定の人は残高でだいたいの状況が読めます。動く人は読めません。残高が多いのは先月まとまった入金があっただけかもしれず、実態とは関係がないからです。
だからこの収入形態の人にとって、あの「下限」は実際の記録から出すしかありません。感覚で見積もるとほぼ確実に低すぎます。下限を出すには最低でも三か月ぶんの完全な支出記録が要り、それがここでの家計簿の値打ちです——節約のためではなく、自分の下限がどこにあるかを知るためです。
よくある質問
去年の月平均を使ってはいけませんか
その額を実際に受け取ることが一度もないからです。平均で組めば平均を下回る月に必ず超過し、連続超過がもっともよくある離脱要因です。収入ではなく支出に合わせてください。
「自分への給料」はいくらにすべきですか
下限に小さな余裕を足した額です。平均収入の近くにしてはいけません。低ければ残るだけですが、高ければ平均の罠に戻ります。
50/30/20 はまったく使えませんか
前提が収入の安定です。毎月変わる基数に割合を掛けると毎月変わる予算になり、計画に使えません。収入が動くときは絶対額で持ってください。
ひと月ためしてみる
Fambook は家族にひとつの共有帳簿を渡します。誰でも数秒で一件書けて、どの記録にも誰が使ったかが残り、ひと月の合計が二か所ではなく一か所にまとまります。圏外でも記録でき、あとから同期します。記録、カテゴリ、予算、統計、CSV の入出力、同期、二人での共有は無料。課金で買えるのは「入力の手間が減ること」だけです。